沖縄移住で後悔しない!夫婦で話し合いたい3つのこと【仕事・お金・価値観】
沖縄移住・転職の相談を受けていると、多くの方がまず「仕事をどうするか」「年収が下がっても大丈夫か」と悩んでいます。
家族での移住となると世帯年収の維持が課題になり、夫婦両方の仕事探しを並行して検討することになります。
一方で、こうした具体的な話し合いをする前に諦めてしまい、あとで「挑戦しておけばよかった」と感じる人もいます。
そこで本記事では、夫婦で沖縄移住を実現するために話し合うべき「仕事・お金・価値観」の3つのテーマをご紹介します。
この記事でわかること
「理解していた」だけでは不十分
沖縄国際大学の研究(2024年)では、実際に沖縄に移住したが離脱した人へのインタビュー調査が行われました。
その結果、多くの人が「移住前に賃金が低いことは理解していた」にもかかわらず、実際に体感して離脱を決めたことが明らかになっています。
主な離脱理由:
- 低賃金による経済的不安
- 親の看病・介護などの家族の事情
- 結婚・子育てで親に帰郷を迫られた
注目すべきは、「頭では理解していたが、現実は想像以上に厳しかった」という点です。
具体的な生活費のシミュレーション、配偶者の仕事、家族の将来的な事情などを十分に話し合っていなかったケースが多くあります。
出典:小原満春(2024)「ライフスタイル移住者の移住地からの離脱と関係人口への可能性―沖縄県の事例―」『観光研究』36(3), 26-35
では、具体的に何を話し合えばいいのでしょうか?
夫婦で話し合いたい3つのこと

1. 配偶者の仕事をどうするか
このセクションのポイント: 夫婦で転職活動をする場合、内定タイミングのズレが最大の課題です。事前にパターンを決めておきましょう。
最大の落とし穴:転職タイミングのズレ
二人同時に転職活動を進める場合、最も注意すべきは「転職タイミングのズレ」です。
職種によって転職の難易度は大きく異なります。
看護師・薬剤師などの資格職は1〜2ヶ月で内定が出る一方、一般職は3〜6ヶ月かかることもあります。
夫婦で同時に転職活動を始めても、内定が出るタイミングが全く噛み合わない可能性があります。
事前に決めるべきこと:
- 片方が先に内定を得たら、待つ?先行移住する?
- どちらの転職を優先するか?(家計の大黒柱 or 柔軟性のある方)
転職タイミングの選択肢
パターン①:二人同時に転職活動する(ダブル就活)
メリット:
- 移住時期をそろえやすく、短期で同居再開を狙える
リスク:
- 双方の負担が大きく、タイミングのズレが起きやすい
- 内定が先に出た側の待機・先行移住が必要になることも
パターン②:時期をずらして転職する
メリット:
- 家計の安定を確保しやすく、不確実性を抑えられる
リスク:
- 同居開始が遅れやすく、二重生活費や移動負担が発生
働き方の選択(代替案)
タイミングの問題自体を小さくする別解として、働き方を変えるという選択もあります。
フルリモート職種への転職
- 配偶者の転職タイミングを気にしなくて済む
- 将来的に実家に戻る可能性がある場合も柔軟に対応できる
- ただし未経験からの転職は難易度が高く、年収ダウンや職種妥協が必要になることが多い
特にフルリモート職種は、後述する親の介護問題など、将来の選択肢を広げる有力な手段です。
移住をきっかけにキャリアチェンジを検討する価値があります。
参考記事:失敗事例から学ぶ沖縄への転職活動
2. 許容できる年収ダウンの幅

このセクションのポイント: 「なんとかなる」ではなく、具体的な数字で家計を把握しましょう。特に子どもの県外進学費用は見落としがちです。
家計の現状を「見える化」する
仕事の次に現実的な課題が「お金」です。
二人とも転職で世帯年収が減る可能性が高いのが実情です。
「なんとかなる」ではなく、具体的な数字で確認しましょう。
日本FP協会では、まず家計の現状を把握することが基本とされています。
移住という大きな転機だからこそ、以下の項目を具体的な数字で確認することをおすすめします。
やるべきこと:
- 現在の収入と支出を「見える化」(キャッシュフロー表の作成)
- 削減可能・不可の支出を分ける
- 沖縄特有の支出(車・光熱費)を加味
- 現実的な貯金額を把握(バランスシートの作成)
- 緊急予備資金を準備する(月の生活費の3~6ヶ月分、場合によっては1~2年分)
参照:日本FP協会「便利ツールで家計をチェック」
子どもの県外進学費用を試算する

子どもがいる家庭で見落としがちなのが、県外進学にかかる費用です。
沖縄から県外の大学に進学する場合、年間200〜300万円の追加費用が発生します。
内訳:
- 仕送り:月10〜12万円 × 12ヶ月 = 年間120〜144万円
- 学費(私立の場合):年間80〜150万円
- 入学時の初期費用(敷金・家具家電など):50〜80万円
全国大学生活協同組合連合会「第60回学生生活実態調査」(2024年)によると、自宅外通学の大学生への仕送り平均は月7万2,350円、生活費総額は月13万1,710円と報告されています。
沖縄から本土の大学へ進学する場合は、距離が遠く帰省費用も高額になるため、全国平均よりも多めの仕送りが必要になるケースが多いことを想定しておきましょう。
試算例: 子ども2人が県外進学した場合、4年間で約1,600〜2,400万円の追加負担
この金額を移住後の収入で貯められるか?
世帯年収ダウンとのバランスを慎重に検討する必要があります。
参考:
- 全国大学生協連「学生生活実態調査」
- 東京私大教連「私立大学新入生の家計負担調査」
3. なぜ沖縄なのかを言語化する
このセクションのポイント: 夫婦それぞれの「本音」を引き出し、価値観のズレを可視化することが重要です。
ポイント①:「ファミリーキャリア」という視点で本音を引き出す
ハーバード・ビジネス・レビュー(2018年)で紹介された概念です。
「夫のキャリア」「妻のキャリア」を別々に考えるのではなく、「家族としての人生をどう充実させるか」という視点で話し合います。
具体的なワーク:
- 夫婦それぞれが「なぜ沖縄なのか」を3つ書き出す
- 各理由に「優先順位(1位〜3位)」と「譲れない度(◎○△)」をつける
- お互いの理由を見比べて、ズレている部分を確認する
よくあるズレのパターン:
パターン①
- 夫「キャリアアップ(◎)」vs 妻「子育て環境重視(◎)」
- → 両立できる職場・住環境を探す必要がある
パターン②
- 夫「海が好き(○)」vs 妻「実家から遠い不安(◎)」
- → 表面的な理由の奥にある「本当の不安」を掘り下げる
このズレを認識せずに移住すると、「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースが多発します。
事前に可視化することで、話し合いの土台ができます。
※参考:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「共働き夫婦の人生を充実させるには、『家族としてのキャリア』計画が必要である」
ポイント②:出身地による違いを理解し、親の介護リスクを織り込む
両者とも沖縄出身の場合
土地勘・人脈・生活イメージが共有しやすい一方で、「思い出の沖縄」と「現実の沖縄」のギャップに注意が必要です。
注意点:
- 10年以上県外にいた場合、交通事情・商業施設・医療環境が大きく変化している
- 「地元だから何とかなる」という楽観が、準備不足を招くケースも
どちらかが非沖縄出身の場合
小原満春(2024)の研究では、沖縄に移住した人が移住先を離れる主な理由として、「親の看病・介護」や「家族の事情」などが挙げられています。
この点を事前に話し合っておくことが極めて重要です。
実際に話し合うべきこと:
1. 親の年齢と健康状態の確認
- 実家の両親が70歳以上なら、今後5〜10年で介護が必要になる可能性
- 配偶者側の親についても同様に確認
- 「いざとなったら帰る」が現実的に可能かシミュレーション
2. 介護が必要になった場合の選択肢
- パターンA:沖縄から実家に戻る(逆Uターン)
- パターンB:親を沖縄に呼び寄せる
- パターンC:フルリモート職種でどこでも働ける体制を整える
- それぞれのメリット・デメリット・費用を試算
3. 義両親への説明と理解
- 「なぜ沖縄なのか」を論理的に説明できるか
- 年に何回帰省するか、具体的な頻度を提示
- 将来的に戻る可能性についても正直に伝える
ポイント③:子どもがいる場合は移住の「タイミング」を話し合う
沖縄移住の支援現場で見てきた傾向として、小学校低学年までは移住後の適応がスムーズなケースが多く、中学生以降は受験や部活、友人関係の確立により移住に強く反対されるケースが増えます。
ただし、最も重要なのは以下の要素です:
子どもの状況を確認:
- 現在の友人関係の深さ(転校への抵抗感に直結)
- 受験やクラブ活動など中断できないイベントの有無
- 子ども本人の性格と意向
- 兄弟姉妹の有無(一緒に移住する場合は心の支えになる)
実際に話し合うべきこと:
- 「いつ移住するか」を子ども本人と相談したか
- 進学のタイミング(高校入学時など)に合わせる選択肢はあるか
- 子どもが強く反対した場合、どう対応するか(単身赴任や時期の延期など)
「子どもの教育のため」を移住理由にする場合、期待と現実にギャップがあると後悔につながります。
可能であれば学校見学や地域リサーチを行い、現実を確認しておきましょう。
話し合いを進める「対話のチェックリスト」

ここまで3つのテーマをご紹介しましたが、「何から話せばいいかわからない」という方のために、キャリアコンサルティングの意思決定理論に基づいた実践的なチェックリストを用意しました。
このチェックリストは、キャリア選択において広く活用されているジェラットの意思決定理論に基づいて設計されています。
ジェラット理論では、意思決定を次の3つのシステムで捉えます。
- 予測システム:選択肢とその結果を予測する
- 価値システム:結果の望ましさを評価する
- 決定システム:評価基準に基づいて選択肢を決定する
沖縄移住という大きなライフイベントにおいて、これら3つの視点を夫婦で共有することが、納得感のある意思決定につながります。
チェックリストの使い方
移住の話し合いは、正解を出すことが目的ではなく、お互いの気持ちを言語化していくことが重要です。
以下の質問は、ジェラットの3つの意思決定システムに対応する形で設計されています。順番にこだわらず、気軽に話し合ってみてください。
対話の心構え:
- 相手の意見を否定せず、「そう感じているんだね」とまず受け止める
- 「どちらが正しいか」ではなく、「どう感じているか」を共有する姿勢を大切にする
【価値観】なぜ沖縄なのか(価値システム)
- 沖縄に住みたいと思う理由は何?
- 相手の理由を聞いて、どう感じた?
- もし移住しなかったら、5年後にどう感じていると思う?
- 「これは譲れない」と感じる価値観はお互いにある?
【仕事】キャリアをどうするか(予測システム)
- お互いの今の仕事についてどう思ってる?
- 沖縄での仕事選びで何を最も重視したい?
- 二人同時に転職活動する?それとも時期をずらす?
- 転職活動中の家事・育児の分担はどうする?
【お金】生活をどう成り立たせるか(予測システム)
- 収入が減る可能性についてどう考えてる?
- お金と時間、どちらを優先したい気持ちが強い?
- 「これだけは削りたくない」という支出項目はある?
- 今の貯金額と、収入がゼロでも何ヶ月暮らせるかを把握してる?
【不安とリスク】どう向き合うか(予測システム+価値システム)
- 沖縄移住で一番不安なことは何?
- もしうまくいかなかった場合、どう対応する?
- 親の介護や健康に関する懸念は?
- 子どもの進学や教育に対する心配は?
【決断とタイミング】いつ、どう行動するか(決定システム)
- いつまでに結論を出したい?
- 「これが整ったら移住する」と思える条件は何?
- 計画がうまくいかなかった場合、どこで見直す?
※本チェックリストは、キャリアカウンセリング分野で広く活用されている ジェラット(Gelatt, H.B.)の意思決定理論に基づいて設計されています。
まとめ

沖縄移住で後悔する最大の原因は「頭では理解していたが、現実は想像以上に厳しかった」です。
この記事で紹介した「仕事・お金・価値観」の3つのテーマについて、まずは夫婦で「話し合う時間を作る」ことから始めてください。
「なんとかなる」ではなく、具体的な数字と対話で、夫婦で納得できる移住計画を立てましょう。
レキサンでは、転職支援を軸に夫婦でのUIターン相談も受け付けております。お気軽にご相談ください。
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【開催日】 :11月22日(土)【日時】 :9:00〜10:00
【対象者】 :沖縄県へのUIターン転職を検討している方
【費用】 :無料
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