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こんにちは。
株式会社レキサン(リージョナルキャリア沖縄)のIT専門転職コンサルタント・玉城です。

前回の記事 「転職活動はAIで変わる?ChatGPTで自己分析・職務経歴書を効率化する方法と活用ポイント」 では、ChatGPTを活用して職務経歴書のたたき台を作ったり、自己分析や企業研究を進めたりと、AIをうまく使って“転職活動の最初の一歩を軽くする”方法をご紹介しました。
しかし、その中で、「表面的な経歴になってしまう」「深みのある内容には自分で引き出す必要がある」といった課題も見えてきました。

そこで今回の記事では、実際に私がITエンジニア向けに自作した“深掘り型”の職務経歴書作成GPTsをご紹介します。
*GPT(ChatGPT)は、日常的な質問や対話ができる生成AIですが、GPTsはそのGPTをベースに「特定の目的に最適化されたAI」を自分で作成・利用できる機能です。

目次

  1. エンジニアの転職支援で感じていたリアルな課題
  2. なぜ今“深掘り型GPTs”が必要なのか?
  3. GPTsで“自分の棚卸し”を会話ベースで進める
  4. まとめ:AI×人の力で、沖縄IT転職のチャンスを広げよう

 

エンジニアの転職支援で感じていたリアルな課題

ハードル①:そもそも書き始める時間がない

これまで多くのエンジニアの方とお話ししてきましたが、「書類作成に時間をかけられない」「忙しすぎて最初の一歩が踏み出せない」という声は少なくありません。
これはITエンジニアに限った話ではありませんが、仕事が忙しい中で最初の一歩目の作成に取りかかること自体、少しハードルがありますよね。 転職を意識しても、職務経歴書が書けずに応募に至らないこともよくあります。

まずはこのハードルを乗り越えて転職活動のスタートをサポートできるツールがあると楽になると感じ、「ChatGPTを通して“会話ベース”で経歴を書けたら、もっと気軽に転職活動を始められるのでは?」と思い、ツール開発を始めました。

ハードル②:一人での“深掘り”が難しい

職務経歴書を一旦の完成までこぎつけたものの、「これで本当に伝わるのかな?」「どこか薄っぺらく感じる…」という不安は誰にでもあると思います。多くの方が一人での振り返り、ブラッシュアップは容易ではないですよね。
特に技術職では、成果の背景や役割、工夫のポイントなど、“語るべき深さ”が求められるため、テンプレートでは対応しきれません。
ここをサポートできるAIがあれば、自己分析や振り返りがもっとラクになるし、ある程度までは精度を高められるのではと考えました。

なぜ今“深掘り型GPTs”が必要なのか?

世の中の職務経歴書AIに感じる限界

既存の職務経歴書作成AIの多くは、フォーマットに沿って内容を埋めていく“表層的な設計”が中心です。言ってしまうと、テンプレ的で浅い出力かつ実務レベルには不十分なのが実情です。技術内容や成果の説明が浅くなりがちで、結果として「誰が書いても同じような内容」になってしまう。
エンジニア向けに技術、プロジェクト背景、担った役割、課題解決の深堀りまでしてくれるようなツールはあまりないのではないでしょうか。経験を単純に羅列するだけだと深さがなく、魅力を十分に伝えられません。それでは、企業側へ刺さる内容にするのは難しい。
「深掘り・実務に即した内容」で転職希望者さまご自身の魅力を最大限に伝える必要性があると感じています。
そもそも、企業側に「刺さる」職務経歴書とは?というと、次のような要素が必要です。

(1)  具体性と数字
まず、担当してきた仕事を具体的に表現し、実績など数値で表せるものは極力数値で表します。
実績の数字化(例:MTTR38分/レビュー時間74%削減)

(2) 課題解決のストーリー
次に必要なのは、ストーリーです。特に印象的なプロジェクトや、自社内においての「課題発見」→「解決のアクション」→「成果」というストーリーがあると魅力が伝わりやすくなります。
経営、事業、プロジェクト等において全体にインパクトを与えられたものであると実績としてわかりやすいですが、自分のターニングポイントになった事柄でもOKです。それらを具体的に伝えることが重要です。

GPTsで“自分の棚卸し”を会話ベースで進める

では、この具体性を含めた職務経歴書の記載について、今回作成したGPTsを使用してみましょう。ChatGPTs上で質問に答えていくだけで、以下のような流れで職務経歴書を整えていくことができます。

【実際に作ってみた】ITエンジニア特化型・職務経歴書サポートGPTsの特徴と使い方

① ゼロから職務経歴書を作成するGPTs

このGPTでは、以下のような流れで経歴書を整えます

  1. 所属企業・業種・在籍期間の入力
  2. 担当プロジェクト・業務領域の記入
  3. 使用していた技術スタックの整理
  4. 課題→アクション→成果のストーリー記入
  5. 職務要約+活かせる経験+自己PRの生成

では、実際の利用画面に沿って使い方をご紹介していきたいと思います。
※ここでGPTsに記入していく情報はChatGPTで作成した架空のものですが、実際のエンジニア経験に即した構成になります。
こちらの職務経歴書コンシェルジュGPTs(作成版)を使って、進めていきます!

まず、指示(プロンプト)を入力していきます。

次に、所属企業・業種・在籍期間を回答します。ここには出ていませんが、「複数ある場合は、期間ごとに分けていただいても大丈夫です!」とアドバイスもくれます。


次に、担当したプロジェクトや業務領域を記入します。

ここから、使用していた技術スタックに掘り下げていく過程に入ります。ここが最も重要なポイントであり、AI側でもそのことをコメントで伝えてくれます。

さらに、ここから課題解決へのストーリーを加えていきます。

ここで一旦、職務経歴書のドラフト(草案)が完成しました!

出力された職務経歴書はこんな感じです↓

 

 職 務 経 歴 書
2025年4月現在
氏名(記入予定)

■職務要約
株式会社ABCソリューションズにて、金融・製造業向けシステム開発、クラウドインフラ構築、プロジェクトマネジメントに従事。
基幹システムの刷新やクラウドマイグレーション、大規模アプリケーション開発をリードし、DevOps・CI/CD推進によるリリース高速化や品質改善に大きく貢献。
組織課題に対しても自発的に取り組み、プロセス改善・教育体制構築・運用効率化により、定量的成果を上げた実績を有する。

■職務経歴
□2020年1月 ~ 現在 株式会社ABCソリューションズ(SIer/情報サービス業)
◆事業内容:金融系・製造系システム開発事業
◆資本金:非公開 売上高:非公開 従業員数:非公開
【担当業務領域】
・基幹システム開発(金融勘定系)
-メガバンク・地方銀行向け勘定系リプレース、クラウド移行PJ
・製造業向け業務アプリ・プラットフォーム開発
-MES(製造実行システム)導入、SCM・生産計画最適化、IoTデータ基盤構築
・クラウドマイグレーション/インフラ構築
-AWS、Azure 上でのマイクロサービス基盤設計・構築(IaC対応)
・プロジェクトマネジメント & チームリーディング
-PMI-PMBOK/Agile-Scrumハイブリッドで25名規模の複数PJを統括
・DevOps/CI/CD・運用改善推進
-GitLab-CI、Jenkins、監視基盤構築(Prometheus+Grafana)によるMTTR短縮

■使用技術
・言語:Java 8-17、Spring Boot、C# (.NET 6)、Python 3、SQL
・フレームワーク&ミドルウェア:Spring Boot、.NET Core、FastAPI、Kafka、RabbitMQ
・クラウド/インフラ:AWS(EKS, RDS, S3, Lambda)、Azure(AKS, Functions)、Docker、Kubernetes
・DB:Oracle、SQL Server、PostgreSQL、Amazon Aurora PG
・IaC & CI/CD:Terraform、GitLab-CI、Jenkins、Argo CD
・品質/監視:SonarQube、Prometheus、Grafana、Selenium 自動テスト
・管理ツール:JIRA、Redmine、Confluence、Slack、Teams

■組織課題への取り組みと成果
◆品質レビューの属人化解消
・課題:リーダーごとにレビュー観点が異なり、レビュー待ち平均4.2日、P1バグ混入率0.35件/KLOC
・アクション:共通チェックリスト(15項目)作成、SonarQube Gate設定、Peer Review Dojo開催
・成果:レビュー待ち1.1日に短縮(‑74%)、P1バグ混入率0.08件/KLOC(‑77%)
→チェックリストが全社標準に、品質KPIの社内ベンチマークに選定
◆新人育成スピード向上
・課題:新人のチケット消化開始まで平均10週、OJT負荷集中
・アクション:ハンズオン型オンボードキット作成、進捗可視化、ペアプロ・モブプロDAY導入
・成果:初チケット完了まで4週(‑60%)、OJT負荷削減(残業‑15h/月)、育成施策が採用アピール材料に
◆夜間障害対応体制強化
・課題:障害対応の属人化とMTTRの長期化(平均2時間)
・アクション:Loki+Grafanaでログ統合、ErrorBudget自動アラート化、障害演習の定期実施
・成果:MTTR 38分に短縮(‑68%)、当番回数‑40%、一次対応者増加(3→9名)
→監査法人より「運用体制強化」の評価を獲得、金融クライアント提案書に実績掲載

■活かせる経験・知識・技術
・クラウドネイティブアーキテクチャ設計・構築(AWS, Azure)
・マイクロサービス開発とDevOps推進経験
・大規模プロジェクトマネジメントとアジャイル開発リード
・品質改善・教育体制構築・運用効率化における定量的成果創出

■資格
(記入予定)

■自己PR
現場で発生する課題に対して、原因を深掘りし、チーム全体の仕組みを変えることにやりがいを感じています。
技術力に加えて、組織力・育成力を意識して行動することで、チーム全体のパフォーマンス向上に貢献してきました。

今後も、クラウド・マイクロサービス技術を軸に、事業成長に直結する価値提供を行いたいと考えています。

以上

 

いかがでしょうか?
プロジェクトごとにもっと詳しく書けそうな感じもありますが、一旦必要な内容は盛り込まれた職務経歴書として完成しているかと思います。

② 既にある職務経歴書を“添削する”GPTs

ここからは、既に書いた職務経歴書を添削したいという方も使っていただけるもう一つの職務経歴書添削GPTsをご紹介します。

まず、こちらのスタート画面で「職務経歴書を添削してほしい」を選択します。そうすると、既存の職務経歴書を張り付けるように指示されるので貼り付けます。
内容にあわせて、以下のようなレスポンスをしてくれました。

 

この後、以下のような内容で追加のヒアリングが続きます。

複数の会社を各社記載予定か?

Webサイト制作業務/業務システム開発とありましたが、さらに詳しく、

  • 案件ジャンル(例:Webサイト制作3割、システム開発5割)
  • 新規開発/保守運用の比率(例:新規6割、保守4割)も教えてもらえるとありがたいです!

現状のスキルセットはわかりました!追加で、

  • チームでの役割(例:実装担当、設計担当、リーダーなど)
  • Vue.jsやReactで実際に携わったプロジェクト名・内容 があれば教えてほしいです!

「あまり目立った成果はない」と言われていましたが、

  • チーム内でちょっとした業務改善をした
  • 作業効率を工夫した
  • バグ対応やレビュー改善 など、どんな小さなことでもOKですので思い出して教えてもらえますか?

いかがでしょうか?
今回ご紹介した内容を参考に、みなさんにぜひ一度使っていただき実際の職務経歴書作成ツールとして利用いただけそうか確かめてみて頂ければと思います。

まだまだ改良の余地がありそうなGPTsなので、今後も改善は進めていきたいところです。

今後の展開
①プロジェクトごとの内容の詰め、深堀りレベルの向上
現在は、内容が足りてない箇所への質問をしてはくれますが、「それでも書けない!」といった場合への対処がまだ行き届いていません。そういった場合に問いかけの方法を変えるなどの工夫を加えていきたいと思っています。
②応募企業に即した内容へのブラッシュアップ
応募先の企業によって、アピールポイントは変わることも当然想定されます。応募先の企業とポジションによって構成やアピールポイントをアドバイスできるような改良を目指したいです。
③深堀り、横展開などキャリアイメージの壁打ち
理想としては、目指したいキャリアの方向性から「今何をすべきか」「どういったポジションを目指すべきか」の壁打ちまで含められると、また違う価値を提供できるかもしれません。
※GPTs利用時の注意点
・個人情報の観点からGPTに自分の職歴を入力するのが心配な方は使用を控えるか、「A社」などの表現で会社名を伏せたり、重要な部分はGPTに任せずに自分で書く等の工夫をしてください。
・出力された内容は必ず人の目で確認し、修正・補足してください
・本ツールは2025年4月現在の仕様です。今後変更を加えたり、カスタムGPTそのものを使用不可にする可能性もございます。

まとめ:AI×人の力で、沖縄IT転職のチャンスを広げよう

職務経歴書作成は転職活動において非常に大事なポイントであると同時に、まとめるのに時間がかかったり、最初の一歩をどこから始めてよいか分からない場合もあるかと思います。結果、おざなりな内容で企業側へのアピールが弱くチャンスを逃してしまうのは求職者にとっても企業にとっても非常にもったいないことであると常々感じています。

今回のツールがそういった課題を解決する一助になればと思っています。

上記の通り、まだまだ改善の余地はあるので少しずつブラッシュアップしていき、どこかのタイミングでまた皆様に出来栄えをご報告できればと思っています。
「試しに使ってみたい」「使い方の相談をしてみたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
沖縄移住転職の相談も大歓迎です。

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玉城 良樹 Tamashiro Yoshiki
コンサルタント
沖縄県糸満市生まれ。県内大学卒業後、中国へ(北京外語大学→西安交通大学)帰国後は東京で就職。IT企業にて営業職として従事。沖縄へUターン後、ベンチャー企業を経て、株式会社レキサンへ入社。現在はIT企業専門担当として活躍中。インドア派だが、たまに自然豊かな場所へ行きエネルギーチャージしている。

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