沖縄転職 Q&A|“元エージェント利用者”のリアルな疑問に転職コンサルタントが本音回答
皆さんこんにちは。
株式会社レキサン(リージョナルキャリア沖縄)の花岡です。
前回は「転職エージェントの課題」について触れて参りました。(もし宜しければ、転職活動の参考情報にこちらの記事もご活用下さい!)
さて今回は、私が転職コンサルタントとして普段どのような考え・スタンスで転職希望者様をサポートさせて頂いているのかをお伝えする回とさせていただきます。
転職コンサルタントと一括りに言っても、会社ごとに方針やサポートの深さはさまざまです。そして、個々のコンサルタントによってもまた考え方や転職支援へのアプローチ方法は異なります。
そこで、今回は沖縄専門の転職支援を行うコンサルタントとして私という一つの事例を知っていただき、転職エージェントの活用や転職活動についてのご参考になれば幸いです。
それには、元転職希望者様から以前頂いた質問についてお答えする形がわかりやすいかと思いますので、質疑応答形式でお伝えして参ります。
弊社を利用して沖縄転職を果たしたAさんのプロフィール
頂いた質問への回答をご紹介する前に、まず背景として、質問頂いた元転職希望者様である(以下、Aさん)についてご紹介します。
Aさんは、私が面談をさせて頂き、弊社サービスを通じて転職にご成功された方です。
現在は「沖縄の魅力を世界に伝えたい」という芯や志の基、沖縄の会社の事業支援にご尽力中であり、その一部として弊社の事も支援して下さっています。正に転職成功体験者・経験者のお一人として、現在沖縄への転職活動中の方にとってはとても参考になる存在かと思います。
・年齢・学歴:20代(男性)、国立大学卒
・前職①:大手ステーショナリー関連企業・企画営業/新プロダクト制作企画、PR
・前職②:沖縄県内の公的機関/地域活性プロジェクト、SNS戦略、イベント運営、
管理部門(経理・人事・財務)・新規事業立案
・現職:事業支援会社(マーケティング・ブランディング等)
元転職エージェント利用者からの質問&本音の回答
Aさんをご支援する中で、ご相談と共にいくつかの質問を頂戴しました。その中でも、自分や転職エージェントの本質に関する内容だと感じたものについて一つ一つご紹介します。
転職支援におけるスタンス
Q.私が以前利用した転職エージェントでは、担当者からメールの返信が遅い・折り返しがないことがありました。「これって社会人として当たり前の事では?」と感じることがありましたが、自分が厳しすぎるのでしょうか?
A.転職エージェントによって性格や特性も違うので、そういった方もいらっしゃるとは思います。実は「当たり前」を「当たり前にこなす」ことができる人って、多くはないと私は思っていまして、これができる組織や個人は強いです。
Q.それは例えば、どんなことでしょうか?
A.中々仰々しく「これです」と列挙させて頂くのも恐縮ですが、例えば以下のようなことを意識しています。
・最初にお電話差し上げる際は、自分が名乗った後に「〇〇様のご連絡先で間違いございませんでしょうか。」とご挨拶させて頂く。
・自分の目や肌で感じた情報を共有し、企業や転職希望者様それぞれに対してご紹介する際には「何故この案件がマッチすると思ったのか」「何故この転職希望者様がマッチすると考えたのか」自分なりのイメージを伝える様にする。
・もし自分が転職希望者や採用人事ならどうするか?を想像しながらサービスを提供させて頂く。場合によっては「相手が自分の肉親だったら?」と想像して支援にあたる。
こうした挨拶や情報共有の基本を丁寧に行うこと、そして常に“相手目線で考えること”が、まず支援の土台になると考えています。
Q.コンサルタントさんたちの根底にはどんな考えや想いがあるのか気になります。花岡さんは、どんな「軸」を基に動かれていますか?
A.転職希望者様と企業様の双方が「幸せになれる可能性」があるかどうか?です。このゴール(軸)の為に、転職希望者様や企業様がどんな課題を抱えているのかを把握し、打ち手を考え、「なぜマッチすると考えるのか」を伝えます。
その為には、転職希望者様の事を良く知る必要があるので、必ず面談して「人物」を自分の目と肌で確認しますし、逆に転職希望者様に「何故この企業がマッチしていると考えるのか」を伝える為に、企業様との打ち合わせを行って自分の目と肌で確認しています。
Q.私が諸事情でなかなか転職活動を進められずにいると、「転職に無理は禁物」と助言くださいましたね。正直、花岡さんの立場からすると転職決定数を増やすためにも急かしたいのが本音では?なぜそう助言くださったのでしょうか。
A.私は、転職とは人生においてとても大きな要素を占めるものだと考えています。無理して転職活動を進め、その無理が原因でミスマッチが起きてしまうと誰も幸せになれないと思う為です。
転職希望者様の中には、忙しさなどから転職活動を優先できないと判断される方や、一種の「お買い物感覚」で仕事を選ぼうとされる方もいらっしゃいます。こういった方々に対しても、同じことが言えます。
彼らには、ビジョンが明確で転職活動にしっかりと向き合っている強力なライバルがいます。転職は、そのライバルに勝たなければ成立しません。ですので、転職活動に本腰を入れられない状況であったり、覚悟が固まっていないと感じられる場合には、こちらから無理にリードすることは控えるようにしております。
Q.転職活動においては、求人案件をピックアップして1件ずつマッチングに向けてじっくり進めて頂きましたが、大手エージェントのようにどんどん求人を紹介しないのはなぜでしょうか?
A.自分が転職希望者であった際、私も大手エージェントからそのような転職支援を経験しました。しかし、正直に言えばいい思いをしませんでしたし、いい体験を得られませんでした。有体に言えば、「このエージェント、自分のことしか考えていないな」「他人事だな」「相談した意味がないな」と感じた為です。そんなマイナスな想いを、自分が支援する方々には感じて頂きたくありません。しっかり転職希望者様と向き合い、最適なマッチングを目指していきたいという想いがあります。
Q.気持ちの面はわかりましたが、実際には転職に結びつく件数やスピード感は落ちてしまうのではないでしょうか?なぜ丁寧な支援をそこまで大切にするのでしょう?
A.第一に「我々はそうあるべきだから」です。そして、「その方が(転職成功に至る)確度が高い」とも考えているからです。
例えば、一生を共にする結婚相手を見つける場面を想像してみてください。結婚に関する情報サービス(仲人業等を除く)を活用した結果、悩まれたり、より慎重に考えたくなったり、思うようにいかなくなることもあると思います(勿論、思うようにいく方もいらっしゃるでしょう)。
そんな時、プロの相談相手が必要だと思いませんか?我々はそんな存在であるべきだと考えていますし、そうでないと乗り越えられない課題も多くあるでしょう。丁寧な支援が必要でないなら、極論ロボットやAIにお願いする方がいいのではないでしょうか。「自分が転職希望者様の立場だったら、ちゃんと相談にのって欲しいと思うから」私は丁寧に支援をします。それがすべてですね。
また、企業様の立場に立ってみるとイメージしやすいかと思います。私は元々人事の経験がありますが、丁寧に転職希望者様へのサポートをしていないエージェントから「お会いしてませんがいい人だと思います」「スキルセットと必要経験はマッチ」「詳細は本人に聞いてください」等と雑に投げられた情報に価値は感じ難いです。何より、興味を持って応募意思を固めて下さった転職希望者様が一番の被害者になりかねません。だからこそ弊社では転職希望者様に対して、自分なりに脳に汗をかいて、サポートをさせて頂きたいと考えています。
企業への提案スタイル
Q.企業側に対しては、転職希望者のどんな部分を重点的に伝えていますか?
A.前述と重複しますが、なぜこの転職希望者様がマッチすると考えたのか、です。それを自分の言葉で伝えることを大事にしております。昨今は、AIで自動生成した内容を顧客に送るなど業務効率重視の風潮ですが、受け手(企業側)の立場に立った時、私はそれがベストだとは思えません。その為、「自分の言葉で」という点を特に重視しています。
転職エージェント・コンサルタントにできること/できないこと
Q.そもそも私たち転職希望者が、転職コンサルタントの方々にサポート頂ける内容は改めてどんなことなんでしょうか?逆に、サポートしてもらえない部分=転職希望者自身がやるべきこと、とは?
A.端的に表現すると、私たちができる内容は「相談役(コンサルタント)」と「代行(エージェント)業」です。「意思決定の支援」と「決定意思の遂行を代行する役」、ともいえると思います。逆にこちらがサポートできない部分に該当するのは、ご本人の「意思決定」と「決定意思の遂行」でしょう。決める/実行するのは、転職希望者様です。
例えば、転職希望者様に「どんな人生にしたいの?(Goal)」「この転職で乗り越えたいことは何?そのゴールと現在のギャップは?(課題)」「そのために譲れることと譲れないことは何?(優先順位、ゴールへのルート洗い出し)」という様な趣旨を投げかけさせて頂くことで、「転職や人生を切り拓くにおいて考えた方がいいこと=内面と向き合って頂くことが大事である」を示唆(意思決定の支援)します。一方、当該質問内容を考えて回答を出すのは転職希望者様です(意思決定)。
その後、「この案件がマッチすると考える」と提案します(意思決定の支援)し、「応募する」と決める(意思決定)のは転職希望者様です。我々は転職希望者様を代行して、企業様に転職希望者様をご紹介させて頂き、ご入社に至るまで間に入ってサポートさせて頂きます。内定を受諾するか相談を承りますが、あくまで最終的な受諾の判断(意思決定)は転職希望者様なので、そこまでをご支援する、ということになります。
転職希望者の最大の苦しみ
Q.これまでのご経験から、転職希望者が最も苦しんでいるのはどんなことですか?また、それに対して転職エージェント・転職コンサルタントという仕組みはどこまで応えられていると思いますか?
A.「構造的に難しいこと」に一番苦しまれているかと存じます。どういうことかというと、わかりやすいところでは年齢や給与、Over qualification=仕事に求められる学歴や経験よりも、高い学歴や経験を持つこと等が挙げられます。例えば、
- 50代後半で沖縄に移住転職したいが応募可能なポジションが少ない
- 給与水準を下げられないけれど転職しなければならず、応募可能なポジションが無い
- 高学歴で豊富な経歴や経験、成功を収めているが企業側から「凄すぎてうちでは扱えない。」と評価されて転職が出来ない
…という悩みをお見受けします。
私自身も、この沖縄マーケット構造に穴を開けたいと思い努力はしますが、なかなか思い通りにはいきません。我々は、企業側には代替案を提案しますし、転職希望者様側には、情報提供(企業側が何故年齢を重視しているのか、何故沖縄のマーケットの給与水準はこうなのか、何故Over qualifiedと評価されるのか)をさせて頂く等、実態の提供と「だからどうすべきか?」の提案を行うという応え方となります。
私にとっても転職希望者様のこの苦悩はわかりますし、歯痒く感じられる面はあります。だからこそ状況を踏まえたうえで、より最善の結果に繋げられるよう日々尽力しています。
転職支援においての喜び
Q.花岡さんが私たち転職希望者と関わる中で、一番嬉しいことはなんですか?
A.転職希望者様と企業様が叶えたい事を叶えられた時です。また、「花岡さんのお蔭だよ」「花岡さんがいなければ今はない」等の感謝のお言葉を頂戴した時は特に、自分の介在価値を感じることができて最も嬉しく思いますし、いっそうやりがいを感じますね。
最近の転職業界について
Q.最近はAIの普及で世の中も大きく変わってきていますが、転職業界にも影響はあるんでしょうか?
A.あると思います。便利になったと思いますが、職務経歴書を生成系AIで作成し、編集せずに提出して来られる方も増えました。要するに、内容が「自分の言葉ではないな」と感じることがあります。
一方、昔は履歴書や職務経歴書を手書きで書くのが当たり前で、何度も間違えて手直しして出来上がった一筆入魂の生成物を企業に提出する美学があったと思いますが、それも大分前からワードやエクセルで作成したものを使用するのが主流になりましたね。それが悪い、という評価は今ではほとんどされません。作成方法が変わっても、中身に問題がなければいいのです。それと同じで、AIというツールをどう扱うかがミソだと言えるでしょう。要は、ご自身の本当の魅力が伝わるかどうかです。
また、AIの普及と利便性の追求に少しリンクしますが、名乗らない(責任の所在がはっきりしない)採用代行業者が増えてきたり、お見送り理由が「適当だな」と感じてしまうシーンが増えた様に思います。すなわち「他人事感」、「相手というものを見ない/想像しない現象」がここにも表れたと言えるでしょう。そのような状況下で発生する問題や、付随するストレスなどについてこれから我々の業界は考えていくべきフェーズではないか?と少しずつ感じ始めています。
まとめ:根底にあるべきは「相手を想う気持ち」
今回は、元転職希望者様であり、現在は業務上で弊社を支援して下さっているAさんからのご質問にお答えした内容をご紹介させて頂きました。本内容の総括としては「相手を想う」ということだと考えております。転職希望者様に対しても、企業様に対しても、その気持ちなくしては真には成しえないのが私たち転職コンサルタントの仕事だと考えております。
本記事が少しでもご参考になりましたら大変に何よりです。
弊社レキサンでは読者の「沖縄の転職エージェントに、こんなことを聞いてみたい!こんなことをやって欲しい!」を募集しております。すべてにご対応することは難しい面もありますが、できる限りお応えしていきます。
また、私たちの転職支援について少しでも興味をお持ちでしたら、まずはお気軽にご相談ください。あなたの理想の沖縄転職の成功に向けて、精一杯サポートさせていただきます。