BLOG ブログ
BLOG

こんにちは。

沖縄といえば、人々が温かくおおらかなイメージですが、沖縄ではどのような社会的な繋がりがあるのでしょうか?

昔から受け継がれてきた「ゆいまーる」という助け合いの精神や、そこから派生した組織・会社の在り方を通して、沖縄の文化が持つ特徴的な“人と人をつなぐ力”を考えてみたいと思います。

ゆいまーるの意味とは


手の平を重ねてエイエイオーする人々

ゆいまーるは沖縄方言で「結い」を意味し、相互扶助制度として地域住民が畑仕事などの労働を通じて互いに支え合う仕組みです。

また、「イチャリバチョーデー」(出会えばみんな兄弟)という言葉も日常的に使われていたり、県内のモノレール名称「ゆいレール」など公の場面でも広く使われていることからも、沖縄にはゆいまーるという言葉そのものや文化が浸透していることがわかります。

1.沖縄の様々な相互扶助制度

琉球王国時代から現代に至るまで、ゆいまーるはサトウキビ収穫などの農作業における相互扶助として機能してきました。

例えば波照間島では、この共同作業が現在も手刈り収穫として残っており、高齢化や農家減少にもかかわらず地域農業を支える重要な役割を果たしています。

相互扶助の制度としては、「模合(もあい)」制度も県内では広く浸透しています。

模合は、参加者が毎月一定額を出し合い、その金額を積み立てて、順番に1人ずつ受け取る仕組みです。

例えば、10人が毎月1000円を出し合う場合は1人が1万円を受け取る形で進行します。職場、同級生、経営者など多様なグループ間で行われており、地域社会における信頼関係や助け合い文化ということではゆいまーるの文化の一つといえるでしょう。毎月各地で模合と同時に飲み会が開かれていて、仕事仲間や同窓会、経営者同士の会食や、自治会やPTA仲間まで広く行われております。

また、沖縄や奄美地方などで昔は活用されていた「地割」制度も相互扶助の精神が基盤となっています。この制度は、村落全体で耕地を管理し、定期的に土地を構成員(「持地人」)に割り当てる仕組みで、土地の平等な配分を通じて農民層の階層分化を抑制し、比較的平等な社会構造を維持することを目的としていました。

このような仕組みは、村落内での相互扶助的な慣習や協力関係を強化する基盤となっていました。

また、地割制度は単なる土地管理だけでなく、村落共同体としての自治能力や助け合い精神を発展させる役割も果たしており、地主制が発達しなかった沖縄では固定的な権力関係が希薄だったため、相互扶助や共同作業が村落社会の重要な要素として機能していたのです。

2.ゆいまーる文化が息づく場面 ~行事・職場~

こうしたゆいまーるの制度は、金銭や労働の交換にとどまらず、感情的・社会的な絆を深める効果を持ち、地域共同体が強固な結束力を保つための鍵になっているとされています。

行事でのゆいまーる精神

沖縄各地で行われる伝統行事や祭りには、ゆいまーる精神が色濃く反映されています。

地域住民が協力し合って準備・運営を行うことで、単なる娯楽の枠を超えてコミュニティの連帯感を高める場となっています。

伝統芸能や豊年祭など、集落の人々が自主的に役割を分担し、まさに“結い”の精神を体現しながら行事を成功に導いています。

職場に見るゆいまーる精神

一方、企業や組織のなかでもゆいまーるが理念や経営に活かされている例があります。

たとえば、社名がそのままの「ゆいまーる沖縄株式会社」では、沖縄の自立を目指す経営理念に基づき、社員採用でも沖縄の歴史・文化・経済への理解や問題意識を重視。

複数企業が連携して社会課題解決を目指す「沖縄みらい地図アクション」も、相互扶助の精神をもとに職場やビジネスでも連携を強化する動きとして注目されています。

転職者のリアルな声

また、当社がサポートした転職者様から、沖縄での新しい職場環境についての心温まるお声をいただいたことがあります。

「最も驚いたのは職場の絆の深さです」と語るのは、本土から沖縄へ転職された方。

沖縄特有の「ゆいまーる」精神が職場に息づき、同僚は単なる仕事仲間ではなく第二の家族のような存在になっているそうです。

休日には家族を交えたBBQやボーリング大会が頻繁に開催され、自然と家族ぐるみの付き合いが生まれるとのこと。

同僚の子どもの名前や趣味まで把握しているのは当たり前で、お互いの家族の成長を共に喜び合う関係が築かれているそうです。

アットホームな社風の中、仕事の悩みも気軽に相談でき、困った時には皆で支え合う温かさが感じられるといいます。

「この家族的な絆が私には合っていました」という言葉もありました。

このように、沖縄社会においてゆいまーる=相互扶助の精神は昔から今に至るまで息づいています。

また、県が定める「21世紀ビジョン」では「人間の幸せの源泉の多くは、人と人とのつながりの中にある。

‘イチャリバチョーデー’(出会えば人は皆兄弟)や‘ゆいまーる’(共同作業など相互に助け合う伝統的な習慣)など、沖縄の伝統に根ざす人と人とのつながりを大切にする社会を創造する」と明記されていることから、沖縄県としてもゆいまーる精神を基盤にした社会づくりに取り組んでいることがうかがえます。

ビジネスシーンで活かされる沖縄の繋がり文化

パソコンの前で朗らかに話し合うビジネスパーソンたち

前章で紹介したように、ゆいまーるの精神は地域行事や職場における協力関係を生むだけでなく、ビジネスの場でも具体的な仕組みとして機能しています。ここでは特に、模合と中小企業間の協力関係に焦点を当て、ゆいまーるの考え方が組織や経営に与える影響を見ていきましょう。

模合の活用シーン

沖縄では職場内でも模合が広く活用されています。1992年の調査データによれば、沖縄県内企業の約53.9%が職場内になんらかの模合があり、その目的には「親睦」や「情報収集」、「相互扶助」などが含まれていました。

金銭面のサポートだけでなく、社員同士の距離を縮める場として利用されることも多く、結果的に信頼関係や協力体制の強化に寄与しています。

また仕事の人間関係と地域での人間関係がとても近く、密接に絡まっている沖縄では、経営者や自営業主、営業の方などが、模合での人脈を活かして仕事を得たり、クライアントとの関係性をメンテナンスするといった画面にも大いに活かしております。

模合仲間に転職の相談をし、その伝手で転職したり有益な情報を収集するなどは盛んに行われています。

中小企業間の協力関係

沖縄の中小企業では、ゆいまーる精神を基盤とした協力関係が見られます。

特に不安定な経営状態にある事業者同士が模合を通じて資金調達や仕事創出を行い、互いを支え合う仕組みが形成されています。

これにより、零細企業が地域社会で生き残るための基盤となっており、結果として地域社会全体を活性化させる効果も生まれています。

[参照:独立行政法人農畜産業振興機構 波照間島におけるユイマール、沖縄県公式HP サトウキビ、ボーダーインク 『沖縄のもあい大研究 模合をめぐるお金、助け合い、親睦の人類学』(平野(野元)美佐著)、共同性の創発─土地整理事業以後の沖縄の村落共同体─、一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー おきなわ物語一般社団法人デザインイノベーションおきなわ、『模合のつながりと社会的機能』(渡口紘子)]

リファラル採用との共通点”人と人をつなぐ仕組み”

街とネットワークをバックに握手するスーツの男性たち

ここまで、沖縄特有のゆいまーる文化がどのように職場やビジネスシーンで活かされているかを見てきました。

この“ゆいまーる”の精神は、現代の採用手法であるリファラル採用とも共通点があります。

相互扶助の現代的表現

リファラル採用は、既存社員が知人や友人を紹介する採用方法で、沖縄のゆいまーるが持つ“助け合い”の考え方を職場環境に応用した形とも言えます。

社員同士が「良い人材を紹介することで会社を助ける」という構図は、まさに相互扶助の現代版といえるでしょう。

信頼関係の構築

ゆいまーるが地域社会での強い絆を生み出すように、リファラル採用では社員間の信頼関係が重要な役割を果たします。

会社の仕事内容や文化を理解した社員が、自らの知人を推薦するため、職場との相性も良く、信頼性の高い人材が集まりやすくなるのです。

コミュニティの強化

リファラル採用で仲間が増えると、職場コミュニティの結束感が高まり、協力的な雰囲気が醸成されます。

ゆいまーるが地域コミュニティをつなげるように、リファラル採用もまた、組織内に連帯感をもたらしやすい点で優れた方法です。

具体的な互恵の仕組み

一部の企業では、紹介して採用につながった社員に報奨金を出す制度を設けています。

紹介者は会社に貢献でき、被紹介者はスムーズに就職できるうえ、企業側もマッチングの精度が高まるという“ウィンウィン”の関係が構築できます。

このように、互いが利益を得られる仕組みは、ゆいまーるの相互扶助精神の一形態とも捉えられます。

模合の積立金制度のスポンサーを企業が担って、模合の活動を支援すると同時に、企業PRを模合内でしてもらいリファラル採用に活かす、などの新しい仕組みも面白いかもしれませんね。

ゆいまーる文化の特長を、現代のビジネスにどう応用できるか?

リファラル採用との関連からもわかるように、ゆいまーるの精神はさまざまな形で組織運営やビジネス活動に応用が可能です。

例えば、模合のように定期的な小集団での交流機会を設けることで、部署や職位の垣根を越えた連携が育まれます。

また、業務上の悩みや新しいプロジェクトに関する情報などを、もっとカジュアルに交換できる仕組みを整えると、問題解決やアイデア創出が促進されます。

ゆいまーるが教える「困ったときはお互い様」という意識を職場に根づかせれば、日常的にサポートし合う雰囲気が生まれ、結果的に業務効率やチームの連帯感が向上するかもしれません。

ゆいまーるの価値観をもつ転職エージェント

これまでゆいまーるの意味などの説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

弊社の求職者の方を支援して、その方からの口コミでお問い合わせをいただいてまた支援させていただくことが多々あります。

この繋がりを大事にしていきたいという思いがあり、これもゆいまーる精神のひとつとして捉え弊社一同求職者の方々を支援させていただいています。

互いを支え合える最適なマッチングをお手伝いいたします。

 

合わせて読みたい

リファラル採用の詳細については過去記事もあわせてご覧ください。

◆ 沖縄転職における成功のキー「リファラル」とは。沖縄におけるリファラル転職の実例も交えて紹介

 

 


ウェビナーのお知らせ

レキサンでは、沖縄での転職を考えている方向けに、『沖縄で働くって何から始めたらいい?〜沖縄県でのキャリアの探し方とUIターンの実例紹介〜』というテーマでオンラインウェビナーを開催します。 沖縄にUIターンされた方のインタビュー動画をもとに、5つのセクションに分けてUIターン転職の流れや転職市場の動向などを解説していきます。

<ウェビナー概要①>

【開催日】 :10月18日(土)
【日時】  :9:00〜10:00
【対象者】 :沖縄県へのUIターン転職を検討している方
【費用】  :無料
【開催形式】:Google meet

<ウェビナー概要②>

【開催日】 :11月1日(土)
【日時】  :9:00〜10:00
【対象者】 :沖縄県へのUIターン転職を検討している方
【費用】  :無料
【開催形式】:Google meet
※当日ご参加いただけない場合でもアーカイブ配信をご用意しております。(当日分ではなく、過去の収録による動画の可能性もあります。) ※ウェビナーでは2024年に決定した最新の転職者事例もご紹介いたします。

<開催方法>

■オンラインウェビナー ※本ウェビナーはGoogle meetで実施します。Googleアカウントがなくても参加可能です。詳しくは、以下のリンクよりご確認ください。

<こんな方にお届けしたいウェビナーです>

「WEB検索では見つけられない沖縄本社の魅力的な企業や求人を知りたい」 「公開されていないハイクラス求人へのアクセス方法が知りたい」 「都市部でキャリアを積んだUIターン転職者の実例が知りたい」 本ウェビナーは、このような疑問や不安を解消し、UIターン転職を検討をするための情報収集の場になればと考えております。

<注意事項>

※本ウェビナーの受付は、当日の開始時間1時間前を締め切りとさせていただきます。 ※同業他社様の参加はご遠慮くださいますようお願いいたします。

<参加・申し込みフォーム>

   
【開催日】 :①10月4日(土)②10月18日(土)
【日時】  :9:00〜10:00
【対象者】 :沖縄県へのUIターン転職を検討している方
【費用】  :無料
【開催形式】:Google meet
レキサン スタッフ
レキサン スタッフLEQUISON Staff
株式会社レキサンのスタッフが情報をお届けします。転職をお考えの方や企業にとって役に立つコラムや、会社のことや沖縄の情報を発信してまいります。

カテゴリー

コンサルタント

SNSをフォローする

Facebook Twitter