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こんにちは。
株式会社レキサン リージョナルキャリア沖縄 代表の島村です。

沖縄県では、起業・スタートアップを志す方々に向けたさまざまな補助金や支援事業が展開されています。県内外から挑戦する人たちを応援する体制は年々充実しており、起業準備段階から成長・海外展開まで、一貫して伴走する仕組みが整っています。

この記事では、沖縄県内でスタートアップを始める際に活用できる支援事業を、フェーズごとに詳しくご紹介します。

事業の概要や補助金の詳細、応募条件などもQ&A形式でまとめましたので、これから起業をお考えの方や既にスタートアップとしてご活躍中の方など、ご自身の状況に合った支援策を見つける参考になれば幸いです。

 

スタートアップに挑戦しやすい沖縄の環境とは?

沖縄県は、地域経済の持続可能な発展と社会課題の解決を同時に目指し、スタートアップを支えるための多様な支援事業を展開しています。その中核となるのが「スタートアップ・エコシステム事業」です。

スタートアップ・エコシステム事業とは?

起業家・投資家・自治体・研究機関などが連携し、スタートアップに必要な資金調達、メンタリング、ネットワーキングの機会を提供する事業です。スタートアップを支援する「土台」を整備し、社会実装までを支えるのが特徴です。

この取り組みを推進するため、2022年12月に「沖縄スタートアップエコシステムコンソーシアム」が設立されました。事務局は、ISCO(沖縄ITイノベーション戦略センター)をはじめ、琉球未来、アントレプレナーシップラボ沖縄(ESLO)、沖縄フォーシスの4社が務めています。

エコシステムコンソーシアムの目指す姿は、次の3つです。

  • チャレンジ文化が根付いた地域の形成
  • 沖縄の継続的な経済発展に寄与するエコシステムの形成
  • 世界のエコシステムと連携し、相互発展する地域

エコシステムコンソーシアムを構成する組織

  • 事業会社、金融機関、メディア、大学、コミュニティ、拠点、支援機関、経済団体、行政など
  • 設立当初は56組織だったが、現在は73の組織が加盟。
  • 特に資金供給を行うファンドや証券会社の参画が増え、成長フェーズの支援がより強化されている

多様な組織が連携し、挑戦を歓迎する土壌が整備されているのが沖縄スタートアップの強みです。

創業フェーズに活用できる主な補助金とプログラム

これから起業を考えている方、事業アイデアを形にしたい方に向けた補助金・支援事業の詳細をご紹介します。

■スタートアップ起業支援金 ※募集中

最大200万円の補助で起業を後押しする制度です。デジタル技術を活用した社会課題解決型のビジネスが対象です。第一回目の公募は終了しましたが、現在再公募が行われています。

【対象】  :令和7年4月1日~令和8年1月31日に株式会社または合同会社を設立する方
【補助金額】:創業経費の1/2以内、最大200万円
【公募期間】:令和7年6月20日~7月15日(第2期募集)
【実施機関】:株式会社うむさんラボ

【応募要件】
・沖縄県内に法人登記を行うこと
・沖縄県在住もしくは令和8年1月31日までに移住予定
・反社会的勢力でないこと
・同一事業で他の補助金を受けていないこと

Q. 個人事業主からの法人化は対象ですか?
A. 個人事業として既に開業している方の同一事業内容での法人化は対象外となります。

Q. 補助金はいつ支払われますか?
A. 補助対象経費が終了した1月末~2/10の間に実績報告、2月28日までに補助金額が確定し、それ以降に支払われます。

 

■スタートアップ創業支援事業

起業アイデアを形にしたい方向けに、専門家の伴走支援で事業コンセプトを明確にして事業化を目指すプログラムです。募集は2種類のタイプ別に分かれており、事業アイデアをお持ちの方、起業準備中の方が対象の「コンセプト立案コース」は募集が終了しましたが、「サービス設計コース」はこれから募集が始まる予定です。

 

■サービス設計コース(3ヶ月間)※募集予定

【対象】:コンセプトが固まっており、サービスを形にしたい方
【内容】:プロトタイプを作成・検証し、経験豊富な専門家からフィードバックを得る
【募集期間】:令和7年度はこれから募集予定

セッション内容
他社成功・失敗事例から、事業化へのステップを学ぶ「事例学習セッション」
ターゲットへのヒアリングを実施し、仮説に基づく検証を繰り返す「顧客ヒアリング&アイデア検証」
個別相談で検証結果やアイデアを深堀し、改善案を得る「1on1 フィードバック」ほか

その他にも、今年度の募集は終了しましたが「那覇市 社会地域課題解決型 起業支援事業」にも少し触れておきます。
この事業は那覇市内で社会課題解決に取り組む起業家を支援(個人事業主も対象)するもので、最大100万円が補助されます。

前年度の実施実績もあることから、次年度募集の情報収集は必要に応じて行うことをお勧めします。

成長・事業化・海外展開フェーズの支援策

この章では、起業後の事業拡大や製品・サービス開発、海外展開を後押しする制度をご紹介します。

■沖縄国際物流ハブ活用推進事業補助金 ※募集中

沖縄の国際物流機能を活用し、海外販路拡大を目指す企業を支援する制度です。展示会・商談会への参加や、現地プロモーション活動にかかる渡航費・販促費などが補助対象で、スタートアップ企業も活用可能です。

【対象】:県産品や輸出品を扱い、沖縄経由での海外展開を検討している県内事業者(スタートアップ含む)
【補助金額】:渡航費・宿泊費(定額)、販促費の1/2以内、最大120万円
【公募期間】:令和7年4月1日~令和8年1月31日(販促費)
※渡航費のみの利用は令和8年2月28日まで申請可
【実施機関】:公益財団法人沖縄県産業振興公社

■沖縄大交易会(国際食品商談会)※募集中

沖縄をハブに、全国の食品・産品系事業者が海外バイヤーとつながる国際商談イベントです。県内外・海外からバイヤーが集まり、スタートアップ企業の販路開拓や国際展開の第一歩として活用できます。

【対象】:加工食品・農林水産物などを取り扱う県内外の事業者(食品系スタートアップ含む)
【実施内容】:オンライン商談(8月1日〜12月19日)/リアル商談(11月20日・21日@沖縄コンベンションセンター)
【公募期間】:令和7年4月18日~7月18日
【実施機関】:沖縄大交易会実行委員会(事務局:沖縄県、JETRO、那覇市、商工団体等)

また、以下の支援制度一覧は2025年7月7日現在において既に募集が終了しているものですが、次年度も同じ内容またはさらに別の事業で多くの支援事業が募集される可能性があります。
次の募集に備え、どのような支援事業があるか踏まえておきましょう。

〈支援制度一覧〉※募集終了

ブーストアップ沖縄(アクセラレーション事業)

【対象】:サーキュラーエコノミー、観光、エネルギー、ヘルスケア領域のスタートアップ
【支援内容】:専門家のセミナー・個別相談、メンタリング、ネットワーキング支援
【実施機関】:株式会社eiicon

沖縄コクリエーションラボ(オープンイノベーション創出支援)

【対象】:新しいビジネスを創出したい県内企業、またはパートナーが見つかっている企業
【支援内容】:県内企業と県外企業の協業による新規事業開発を支援
【実施機関】:株式会社eiicon

Q. どんなサポートが受けられますか?
A. VC・投資家・マーケ専門家など、多様な専門家によるメンタリングや、ピッチ機会、ネットワーキング支援など。
マーケティング戦略、資金調達、グローバル展開などのセミナーも実施。

スタートアップ事業化支援事業補助金

【補助額】:400万円~800万円(補助率8/10)
【対象】:設立10年未満の法人
【支援内容】:革新的技術や新しいビジネスモデルの事業化を目指す法人向けに、プロトタイプ検証、展示会支援、メンタリングなど。
【実施機関】:アントレプレナーシップラボ沖縄(ESLO)

バイオ関連企業事業化支援

事業進捗確認や課題の洗い出し、沖縄バイオコミュニティや外部有識者と連携したハンズオン支援・メンタリング、予算管理・執行に関する助言など、事業化に向けた総合的な支援が提供されます。

補助額:
【事業型①健康医療分野】最大2200万円
【事業型②健康医療分野以外】最大1700万円
対象:バイオテクノロジーを活用する県内法人
実施機関:一般財団法人アントレプレナーシップラボ沖縄(ESLO)

Q. 沖縄のバイオ分野の現状は?
A. 2012年の32社から2023年には106社へと成長し、着実に発展しています。一方で、製品開発には長い年月や多額の資金を要することが課題となっています。

その他にも、
・実証実験サポート事業
・テストベッド実証支援事業
・県内大学等の研究成果活用に向けた可能性検討補助事業
・スタートアップ成長加速化事業
・スタートアップ海外展開支援事業(Ryukyu Launchpad 2025)

など、多くの支援事業があります。ここで紹介したもの以外にも、次年度にはまた新しい支援事業が出てくることも想定されます。
また、年度途中でも再公募が実施されるものもあるので、興味のある支援事業は事前にチェックしておき、新たな募集に合わせて動けるようにしておくとよいでしょう。

重要用語・窓口一覧

用語 説明
スタートアップエコシステム スタートアップが成長しやすい環境を作るための仕組み。
起業家、投資家、自治体、研究機関などが連携し、資金調達やメンタリング、ネットワーク形成などの支援機会を提供する。
沖縄スタートアップエコシステムコンソーシアム 令和4年12月に設立。沖縄県知事を会長とし、73の組織(事業会社、金融機関、メディア、大学など)が加盟する。
テストベッド 新技術・新サービスの検証を行うための実験環境や場所のこと。

 

主な窓口・問い合わせ先

事業名 運営団体
スタートアップエコシステム構築支援事業 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)
スタートアップ企業支援金・創業支援事業 株式会社うむさんラボ
那覇市社会地域課題解決型起業支援事業 琉球未来
オープンイノベーション創出支援・アクセラレーション事業 株式会社eiicon
スタートアップ事業化支援事業補助金・バイオ関連企業事業化支援事業 アントレプレナーシップラボ沖縄(ESLO)
スタートアップ事業化支援事業補助金・バイオ関連企業事業化支援事業 アントレプレナーシップラボ沖縄(ESLO)
実証実験サポート事業・テストベッド実証支援事業 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)
県内大学等の研究成果活用に向けた可能性検討補助事業 沖縄TLO
スタートアップ成長加速化事業 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)
沖縄国際物流ハブ活用推進事業補助金 公益財団法人沖縄県産業振興公社
沖縄大交易会(国際食品商談会) 沖縄大交易会実行委員会

 

おわりに:挑戦するあなたへ

ここまでご紹介した各種支援事業をご覧いただければ、(募集が既に終了したものも含まれてはいますが)スタートアップ関連の支援事業がかなり多いことがわかるかと思います。

この記事をとおして、沖縄には今、起業・スタートアップに挑戦できる環境が整ってきていると感じられた方もいらっしゃることでしょう。
自社のフェーズに合った支援を選ぶことで、よりスムーズに事業を進めることができます。各支援の詳細は、公式サイトや実施機関へ早めのご確認をおすすめします。

沖縄の未来を切り拓く起業家の皆さんのチャレンジを、心から応援しています。

弊社レキサンは沖縄科学技術大学院大学(OIST)のイノベーションインキュベーターに入居しており、そこで日々新たなチャレンジに挑む多くのスタートアップの姿も拝見しています。

また、実際にスタートアップ企業の採用支援も行っております。スタートアップは組織作りにおいて適切な人材確保が要ともいえる中で、私たちは採用のご支援と共にスタートアップへ入り込み、自らチャレンジをされる転職希望者さまの支援も行っております。

採用・転職に関するお問合せ、ご相談はどうぞ弊社レキサンへお気軽にお寄せください。

島村 賢太 Shimamura Kenta
キャリアコンサルタント
沖縄県石垣島生まれ。横浜国立大学を卒業後、株式会社リクルートへ入社。その後「リージョナルキャリア長野」において人材紹介業の営業職、コンサルタント職として従事。沖縄にUターン後、株式会社レキサンを設立し、代表取締役に。3児の父であり、休日は子供とMinecraftに勤しんでいる。

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