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皆さんこんにちは。
リージョナルキャリア沖縄 株式会社レキサンの花岡です。

前回は「他己紹介」として、弊社のIT領域のコンサルタント、玉城の紹介について触れて参りました。

あわせて前回の記事もぜひご覧ください▼

前回記事

 

沖縄に進出する企業が増加。その背景と市場動向について


近年、沖縄への進出を検討・実行する企業が増加しています。

特に顕著なのは、高級ホテルやリゾート施設などの観光・宿泊業、建設・土木業、不動産開発業、そして沖縄の地理的優位性を活かしたバイオテクノロジー関連企業などで、これらの業界での求人需要が大幅に拡大しています。

この背景には複数の要因が重なっています。

一つ目は、
コロナ禍からの観光産業の本格的な回復により、インバウンド需要の増加と国内観光の復活が見込まれること。
二つ目は、
観光需要の高まりを受けた不動産価格の上昇と、それに伴う開発ラッシュが建設業界を活性化させていること。
三つ目は、
大型商業施設「ジャングリア沖縄」の開業に象徴される新たな商業拠点の形成が、周辺地域の開発を誘発していることが挙げられます。

さらに注目すべきは、M&Aを通じた県外企業との戦略的提携が活発化していることです。

地場企業が本土の大手企業とM&Aを行い経営資源を拡充し、事業規模の拡大や新分野への参入を加速しています。これにより、従来の沖縄経済の枠を超えた広域的な事業展開が可能となり、雇用創出と産業の多様化が同時に進んでいる状況です。

今後も、沖縄の地政学的な重要性の高まり、政府の沖縄振興政策の継続、そして独特な文化的魅力を背景として、多様な業種からの進出が続くものと予想されます。

 

沖縄人材の文化的背景と効果的な採用・マネジメント戦略

沖縄は本土とは大きく異なる独自の文化、歴史、社会構造を有しており、これが人材の価値観や行動に深く影響を与えていると感じます。

沖縄進出で成功するためには、この地域特性を理解した採用戦略と組織運営が不可欠です。

密接な人間関係ネットワークと企業評判への影響

まず、沖縄社会の最大の特徴として、とても密接な人間関係のネットワークが挙げられます。地域密着型の文化が非常に強く、良い評判も悪い評判も驚くほど早く地域全体に伝わります。A社の従業員とB社の従業員が親戚関係にあり、さらにそれぞれの配偶者がC社で働いているといったケースなども。

このような人間関係の中で、企業の評判は良くも悪くも簡単に広がっていき、それが採用活動の成否を左右することになります。

沖縄の人々が新しい職場に求めるのは単なる条件面での改善ではなく、「安心して健全な人間関係を構築できる環境」であり、この点への配慮が採用成功の鍵となります。

 

温かさとシャイさを併せ持つ沖縄気質

沖縄の人々の性格的特徴として、本来は非常に大らかで、コミュニケーションや人とのつながりを何よりも大切にする温かい気質を持っています。

しかし同時に、内面的にはシャイな側面も併せ持っており、特に県外出身者との関係構築には時間と配慮が必要です。表面的には友好的に接していても、真の信頼関係を築くまでには段階を踏む必要があります。

県外出身者に求められる段階的アプローチ

このため、採用面接やオンボーディング、人事評価、日常的な業務連携など、沖縄出身の社員の内面に触れる必要がある場面では、特に県外出身の人事担当者や管理職は丁寧なアプローチが求められます。急激な距離の縮め方ではなく、濃淡のグラデーションを意識した段階的な関係構築が重要です。

また、沖縄の人々の多くは「相手の言うことを真摯に受け止め、相手の希望に沿うよう最大限努力すること」を仕事における誠意の表れと捉える傾向があります。これは責任感の強さの表れでもありますが、時として過度な負担を抱え込むリスクもあるため、適切なサポートが必要です。

信頼関係構築後の劇的な変化

一方で、一定期間を共に過ごし、同じ課題に取り組み続けて真の信頼関係を築くことができれば、その後の関係性は劇的に変化します。心を通じ合わせた後は、本土以上に密度の高いコミュニケーションが自然に発生し、チームワークの質が格段に向上する特徴があります。

これらの文化的背景を理解し、長期的な視点での関係構築を重視する企業ほど、沖縄において優秀な人材の獲得と定着に成功している現実があります。短期的な成果を求めるのではなく、地域文化に敬意を払った丁寧な人材マネジメントこそが、沖縄ビジネス成功の鍵を握るでしょう。

 

沖縄進出成功の鍵を握る人事戦略と人材確保の重要課題

沖縄進出を成功させるためには、単なる事業展開だけでなく、地域特性を深く理解した人事機能の構築が必要不可欠です。沖縄での事業戦略に対応する人事戦略の立案から始まり、採用戦略の策定、適切な採用手法やエージェント選定、人事システムの活用、採用イベントの企画運営まで、幅広い領域での専門的な対応が求められます。

さらに、採用後の従業員受け入れ体制の整備、効果的な新入社員研修プログラムの構築、労務管理全般、従業員のパフォーマンス向上に向けた環境整備、教育・研修制度の設計、安全衛生管理やメンタルヘルスケア、公正な人事評価制度の運用、適切な処遇改善、事業成長戦略と現状のギャップ分析、課題の特定と解決策の実行まで、人事が担うべき役割は多岐にわたります。これらすべてに「× 沖縄」という地域特有の要素を掛け合わせた専門的なアプローチが不可欠となるのです。

沖縄の人事機能における構造的課題

沖縄の企業における人事機能の現状を見ると、本土企業とは大きく異なる特徴的な構造が存在します。多くの沖縄企業では、人事業務の中核となる戦略立案や重要な意思決定は代表取締役や役員、事業部門のトップが直接担当しており、実務レベルの調整業務や労務管理は事務職の担当者に委ねられているケースが非常に多く見受けられます。

この特徴により、沖縄の人材市場では体系的かつ網羅的な人事経験を積んだ専門人材が圧倒的に不足している状況が生まれています。また、人事業務の特定分野、例えば労務管理などの一部領域に特化した専門性を持つ人材は存在するものの、人事機能全体を統括し、細分化された各業務領域を管理職として効果的にマネジメントできる経験豊富な人材は極めて限られているのが現実です。

県外人材の評価ギャップと活用の難しさ

さらに深刻な課題として、県外で高く評価される優秀なキャリアを持つ人材であっても、沖縄市場では必ずしも同様の評価を得られないという現象があります。豊富な経験やスキルが「過剰な能力」と判断されたり、「現在の弊社の規模や事業内容にどのように貢献できるのか具体的なイメージが湧かない」という理由で敬遠されるケースが頻繁に発生しています。

また、県外水準の希望給与が「既存従業員との給与バランスを崩す」という懸念から、採用を見送らざるを得ない状況も多々生じています。

これは単なる評価の違いにとどまらず、沖縄企業にとっては本来であれば大きな成長機会となり得る優秀な人材の獲得を「経営判断として見送らざるを得ない」という複雑な事情を抱えていることを意味しています。結果として、沖縄企業の成長ポテンシャルが十分に発揮されない要因の一つとなっているのが現状です。

成功の鍵を握るブリッジ人材の重要性

このような環境において、沖縄進出企業、特に県外と沖縄の従業員が混在する企業にとって、最も重要となるのが適切なブリッジ人材の確保です。

理想的な人事担当者は、県外企業での豊富な人事経験と沖縄企業や地域文化への深い理解の両方を併せ持つ人材です。このような人材は、県外企業の効率的な人事システムを理解しながら、同時に沖縄特有の人間関係や価値観、ビジネス慣行にも精通しているため、両者を効果的に橋渡しすることが可能となります。

しかし、これらの条件を満たす人材は極めて希少であり、こうした貴重な人材の採用に成功できれば、その人物は間違いなく沖縄進出プロジェクトの中核的なキーパーソンとなり、事業成功の確率を大幅に向上させる重要な要素となるでしょう。
このため、沖縄進出を検討する企業は、事業戦略の策定と並行して、適切な人事人材の確保を最優先課題として位置づけ、長期的な視点での人材獲得戦略を構築することが成功への近道といえるでしょう。

 

人事の採用ならびに沖縄の組織についてお気軽にご相談ください

今回は、増加傾向にある、県外企業の沖縄進出における、採用活動で気をつけるべきことについて触れて参りました。本記事が少しでもご参考になりましたら大変にありがたいです。

人事の採用ならびに沖縄の組織の作り方も含めてお力添えができそうでしたら、お問い合わせくださいませ。

弊社レキサンでは読者の「沖縄の転職エージェントに、こんなことを聞いてみたい!こんなことをやって欲しい!」を募集しております。お約束することはできかねますが、できる限りお応えしていきます。

花岡 利季 Hanaoka Toshiki
社会保険労務士
大阪で生まれ、生後7ヶ月でシンガポールへ。大学は日本の武蔵工業大学卒業。日本とシンガポールの両方にて就業経験を積む。JACにてコンサルタントとして活躍。(経理財務人事・コンサルファームが専門領域)2020年沖縄へ移住し株式会社レキサンへ入社。釣りが趣味。沖縄に来てからほぼ隔週で通っている。

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