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こんにちは。
株式会社レキサン(リージョナルキャリア沖縄)のIT専門転職コンサルタント・玉城です。

沖縄は例年よりもかなり早く梅雨が明けましたが、室内は相変わらず湿度が高くじめじめしています。衣類や食品の管理に気を付けなければいけない時期ですね。皆さんがお住まいの地域ではどうでしょうか?

6月となり来月には夏休みに入る会社も多くなってくるのではないでしょうか。こういった長期休暇は自分のキャリアを見直す良い機会でもあります。

首都圏から沖縄への転職を考える場合、仕事内容はもちろんのこと「収入」や「生活費」は生活をリアルに考えるうえで非常に大事なポイントですね。

今回は 「沖縄でのIT転職」を検討中のエンジニアの方々に向けて、次の3トピックをご紹介します。

  1. 首都圏と沖縄の年収・生活費を徹底比較
  2. 成功事例:関東から転職したAさんのケース
  3. 年収を維持して転職成功させるポイント

目次

  1. 首都圏と沖縄の年収・生活費を徹底比較
  2. 成功事例:関東から転職したAさんのケース
  3. 年収を維持して転職成功させるポイント
  4. まとめ:沖縄転職の年収変動は全体を見て捉える

 

首都圏と沖縄の年収・生活費を徹底比較

沖縄といえば、「給与が低い」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、生活コストまで含めて計算すると 実質手取りが増えるケースは少なくありません。

1.ITエンジニアの年収比較

ここで大切なのは「実質増える」ということです。つまり、年収が仮に減ったとしても、収支の部分が押さえられていれば実際、手元に残る金額は増える可能性があるというくとです。

ITエンジニアの年収について、それぞれ東京都と沖縄県を見ていきましょう。

ITエンジニア年収
東京都 沖縄県
約540万円 約440万円

[参照:indeed(2025/6/12現在)東京都でのITエンジニアの給与、沖縄県でのITエンジニアの給与]

沖縄は首都圏の平均年収の 約81%と、数字だけを見ると見劣りしますよね。

実際、首都圏から沖縄に転職して年収が下がるケースが多いのは事実です。しかし、すべての人が必ずしも大幅な年収ダウンをしてしまうわけではありません。なるべく大幅なダウンを避けながら、年収を維持して転職することは可能なのです。
その理由は以下の3つです。

  • 首都圏をクライアントとする企業であれば、首都圏単価を反映した給与テーブルを持っているため
  • 首都圏クライアントでなくとも役職によっては給与を担保できる場合があるため
  • ポートフォリオや実績を“数字”でアピールすれば即戦力評価が得やすく、希望する年収帯のポジションにつける可能性がある

そして、沖縄転職で前職より年収が下がったとしても、生活費における支出額も下がれば手元に残るお金の額は結果的に同程度、もしくは逆に増えることがあるのです。

2. 生活コスト比較──年間93万円の差

では、手元に残るお金が増える可能性を、公式の統計データを基に解説していきます。

首都圏と沖縄の単身世帯の生活費をそれぞれ項目別で整理しました。
なお、東京都は二人世帯の月ごとの支出データから、沖縄県は二人世帯以上の月ごとの支出データから単身の年間支出額を算出しています。

東京都23区 沖縄県 差分(東京-那覇)
食費 538,746円 290,940円 -247,806円
水道光熱費 107,892円 85,008円 -22,884円
住居費 1,240,000円 720,000円 -520,000円

*住居費…大手不動産サイトを参考に、東京都23区の月額平均値を割り出して単身者の年間支出額を算出。沖縄県は那覇市の月額平均値を割り出して同じく算出。
[ 参照:東京都『第20表 世帯人員別1世帯当たり年平均1か月間の収入と用途別成形支出 勤労者世帯』、沖縄県『沖縄県家計調査結果の概況2024年平均』、住居費 LIFULLHOME’S(2025年6月現在)]

支出額を整理すると、沖縄と首都圏の差は住まいだけで年間約50万円、月額4万円超 と想定できます。
※平均値の結果なので、居住地域により変動はあります。

主要項目の年間支出額の差は、約93万円となりました。

こうした生活コストの違いをふまえて、次に「可処分所得」で実際の自由に使える額面にどれくらい差が想定できそうか比べてみます。

3. 可処分所得シミュレーション

まずはじめに、給与額から実際に手取りで残る額面を整理します。
「首都圏と沖縄の年収比較」でまとめた東京と沖縄のITエンジニア年収を参考に、以下の計算式で割り出します。

東京:額面 約540万円 手取り=額面×78% → 約420万円/年
沖縄:額面 440万円 手取り=額面×78% → 340万円/年

※社会保険料・所得税・住民税等でおよそ額面の 22%を差し引く一般的なモデル(会社補助なし)を想定

さらに、「単身の場合 年間支出」表の生活費を用いて収入と支出のおおよその差額を出します。

地域 手取り 年間生活費 手取り残額
首都圏 4,200,000円 2,140,000円 2,060,000円
沖縄県 3,400,000円 1,200,000円 2,200,000円

 

単純に比較すると、「手取り」は減るものの、「手取り残額」は約14万円増額という結果になりました。

また、このケースでは単純に年収が下がることが前提での手取り額ですが、冒頭でもお伝えしたように年収を大幅ダウンせずに、なるべく差額を押さえての転職も可能です。

次の章では、実際に私が転職支援を行った方で、前職と比較しても給与ダウンをほとんどせずに転職に成功した事例をご紹介いたします。

成功事例:関東から転職したAさんのケース

ここで、私が転職支援を行い沖縄への移住転職を果たしたAさんについてご紹介します。
Aさんは、2020 年にリージョナルキャリア沖縄(弊社の提供する求職支援サイト)へ登録、面談の中で「自社サービスを生む側の企業へ」の転職と「沖縄定着」を明確化させて転職活動に望みました。

Aさんのプロフィールと転職背景

転職前

・勤務先:従業員数十名の SIerで関東のクライアント先に常駐
・Java/JavaScript で販売管理・ネットバンキングなどに従事

応募〜内定

・「自社開発+ニアショア開発」 と 「自社開発」の2社をご紹介
・大手グループ企業(従業員数百名規模)へ入社決定

入社を決断された決め手は、以下の3点

  1. 新サービス創出へ投資する姿勢
  2. 企業の安定性
  3. 自身の経験を活かせる業務内容

現職後

  • 首都圏金融機関向け Web システムの新機能を沖縄拠点でリード
  • 様々な新技術の PoC を担当し、技術の幅を拡大
  • 残業は 「どのプロジェクトを担うか」でコントロール可能
  • 社内オンライン教育システムが充実し、学習コストはほぼゼロ

 

Aさんは沖縄出身で、新卒でSIerに就職しました。関東のクライアントへの常駐となり、キャリアのほとんどの時間を関東で過ごしていました。
仕事は充実していましたが、30代を迎え沖縄へ戻ることを検討し始めました。一方で、当時の会社に在籍したまま沖縄に戻ることは難しい状況でした。

このまま時間が過ぎていくことに危機感を感じ、30代前半でついに転職活動をスタートします。

ある程度給与が下がることは覚悟していたものの、インターネット上で見つかる求人は想定を下回る金額でした。

そこで、沖縄での転職を専門とする弊社へ相談し、改めてスキルや希望するキャリアの棚卸し・整理を行い、ターゲットとする企業を決め、私が転職コンサルタントとして伴奏させて頂きながら転職活動を進めました。結果、現職と同等の金額とはならなかったものの、想定の範囲内の金額で企業からオファーを受けることができました。

無事にオファーを得られた背景として、企業の課題や目標を理解し、それに沿う形で自分の強みや価値をアピールをする準備をしっかりできていたことが大きかったと思います。

転職後の家計変化

ここで、先程算出した「手取り残額」の表にAの例を当てはめてみましょう。Aさんの転職前の年収は約470万円、転職後は約430万円です。

 

地域 手取り 年間生活費 手取り残額
首都圏 4,700,000円 2,140,000円 2,560,000円
沖縄県 4,300,000円 1,200,000円 3,100,000円

 

このように、手取り残額が年間で54万円、月額では約4.5万円アップの結果となりました。

もちろん、どのような企業を選ぶか、どのような転職活動を行うかも非常に大事です。Aさんは適切な企業選びと、自分の価値のアピールができたことで、金額的に沖縄で良いスタートを切ることができました。

次の章では、Aさんや他の沖縄転職を果たした人たちも取り組んでいた「面接・選考での工夫」についてもご紹介します。沖縄で年収を維持するには、企業にしっかりと自身の強みや価値を伝えることが不可欠です。

 

年収を維持して転職成功させるポイント
──効果的に自分の価値を訴求する

大前提として、高い年収を得るためにはどのような企業やポジションへ応募できるかが大事です。そのうえで、応募先企業に対して「即戦力としてどう活躍できるか」を具体的に伝える必要があります。

そのためには、成果を数字で表現した職務経歴書や、課題に対して自分がどう取り組んできたかを説明するストーリー構成が効果的です。

◆ 数字で語る職務経歴書の作成法

企業が求めているのは「できそうな人」ではなく「成果が出せる人」です。例えば、

  • 「販売管理システムをリファクタし、レスポンスタイムを 60%短縮」
  • 「ネットバンク新 API を 3 か月でローンチ、テスト自動化率 85%」

このように、アクションした内容と、結果を数字で表すことが大事です。
さらに、特徴的なプロジェクトやストーリーがあれば、例えば下記のように背景からストーリー仕立てで記載しても良いかもしれません。

<背景>

大手流通業向けの基幹システム刷新プロジェクトにて、JavaおよびJavaScriptを用いたフロント~バックエンド開発を担当。ウォーターフォール型の開発工程で要件定義から保守までを一貫して担っていたが、過去案件の振り返りにより「要件定義フェーズでの認識齟齬による手戻り」が頻発し、工数増加と品質低下を招いていた。

<アクション>

PMおよびユーザー部門と連携し、以下の改善策を主導:
・要件定義フェーズに「プロトタイプ型モックアップ」を導入(JavaScript+Figma活用)
・要件定義のレビュー段階でJavaの擬似コードを用いた処理イメージの共有
・要件トレーサビリティマトリクスを独自に作成し、要件の抜け漏れを防止
・さらに、社内ナレッジ共有ツールにテンプレート化した上記プロセスを展開し、他チームへの横展開も行った。

<結果>

・要件定義~詳細設計の手戻り件数を前年比比で40%削減
・開発全体の工数を25%削減(過去平均800人日→600人日)
・品質向上により、リリース後1ヶ月以内のバグ報告件数が70%減少

このように、背景→行動→成果という流れで書くと、企業側がプロジェクトの全体像を把握しやすく、印象に残りやすくなります。

◆ 企業課題に合わせた自己PR戦略──転職エージェント活用のメリット

自分の価値を効果的にPRできても、その価値が応募先企業の課題解決に繋がらなければ意味がありませんた。
転職エージェントが応募先企業の現場から経営層まで幅広いメンバーと会えていれば、その企業の経営側が感じている課題だけでなく、組織全体や現場も含めた課題感を把握しています。
それはインターネット上で公開されているものだけではなく、場合によっては企業側もうまく言語化できていないような課題まで含まれます。
エージェントを活用することで、企業側の課題に対して、自分の価値がその課題を解決できるものであることを効果的にアピールできる可能性があります。

Aさんは、沖縄に特化した転職エージェントである弊社(リージョナルキャリア沖縄)を活用して転職活動を進めました。具体的には、弊社から以下のようなサポートをさせていただきました。

  1. 求人票の情報だけでなく、求人の募集背景の詳細も理解したうえで応募
  2. 自分では気づけていなかったキャリアの開拓や強み、PRポイントを相談の中で整理
  3. 職務経歴書・ポートフォリオのブラッシュアップ支援
  4. 退職交渉相談や入社時期調整までワンストップで伴走

面接においては、応募する企業の魅力や課題の理解と、その企業が抱える背景などから企業側が重視する「採用理由」を構築することが鍵です。
また、会社のカルチャーや目標、経営者、直属の上司、同僚などを理解することは、中長期的に働けるかどうかの大事な判断材料となります。
企業側と密にやりとりができている転職エージェントは、特にそれらの相談がしやすいので転職活動の重要なサポート役になるかと思います。

まとめ:沖縄転職の年収変動は全体を見て捉える

  • 統計上で単純に比較とすると、東京から沖縄への転職は「年収」が減ってしまう
  • しかし、総合的に見ると「手取り残額」は増える
  • A さんのような転職パータンであれば「年収」の下がり幅を少なくし、「手取り残額」をさらに増やせる可能性がある。

「沖縄への移住・転職は生活が苦しくなるのでは?」という声をよくお聞きします。私も東京と沖縄で両方での生活経験がありますが、こうして実際に統計を基に調べると手元に残るお金の具体性が実感できました。

もちろん、沖縄の中でも住む地域、就職する企業、家庭状況など色々な変数で実際の状況は異なりますが、地方で腰を据えて開発できる環境をお探しの方は、ぜひ一度ご相談ください。キャリアとライフスタイルに合った道を一緒に描いていきましょう。

合わせ読みたい
玉城 良樹 Tamashiro Yoshiki
コンサルタント
沖縄県糸満市生まれ。県内大学卒業後、中国へ(北京外語大学→西安交通大学)帰国後は東京で就職。IT企業にて営業職として従事。沖縄へUターン後、ベンチャー企業を経て、株式会社レキサンへ入社。現在はIT企業専門担当として活躍中。インドア派だが、たまに自然豊かな場所へ行きエネルギーチャージしている。

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